- 作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ
- 発売日: 2020/11/19
- メディア: 文庫
汚れた地球(いらすとやより)
月(いらすとやより):地球の衛星
火星(いらすとやより):お隣の惑星
本SFの設定では、人口爆発や環境汚染で人類は地球外に居住地を求めます。
最初地球を周回する衛星の月に、次いでお隣の惑星である火星に居住基地を建設します。
現実の世界を見ると、人間の活動が一因?かもしれない地球温暖化により住みづらい環境になっていっているように思われます。
一方、将来の人類の生存を危惧してか地球外の星の探査が盛んになっています。
月面探査に中国が参入しましたし、太陽系惑星探査においても火星に水が存在する可能性が示めされており、さらにアメリカでは民間によるロケット打ち上げに成功し宇宙ビジネスが加速されそうです。
今年11月に打ち上げ成功したアメリカ・スペースX社開発の新型宇宙船「Crew Dragon (クルードラゴン)」には、日本人のベテラン宇宙飛行士である野口聡一さんとアメリカ人3人が搭乗していました。
さて、今回は本年最後のブログ更新となります。
ご覧いただきありがとうございました。
引き続き来年度も楽しんでいただければ幸いです。
それでは、良いお年を!
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目次
第一章:腫瘍の分離
第二章:火星居住基地での奇妙な死者
第三章:遺族への聴き取り
第四章:グルメクラブへの訪問(以上済んだよ)
第五章:食の調査(今回)
第六章:死因の調査
第七章:ウイルスと病因
第八章:エピローグ
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・・・・・・・大型家畜の地球から月への移動や限られた基地空間での飼育は重量や飼料を考えると無理なので、月居住基地への移住は小動物に限られたはずである。
居住民の地球時代の肉食習慣は変え難く、要望に応えて現在出回っているのはせいぜい小動物の肉である。
「地球の味」で食していられるのは、加工技術の進歩の賜物である。
牛肉風や豚肉風食材を使っているのである。
(以上前回まで。今回は「第五章:食の調査」途中から)
ついで夏目田は、月基地情報ネットワークにアクセスして月居住基地の「食品生産」について調べ始めた。
工場生産が行われているのは植物、キノコなどの菌類、昆虫、小型魚、鳥そして小型哺乳類である。
月基地での食料確保のため、これら生物は優先的に宇宙ステーション経由で地球から運搬された。
やがては徐々に生物種を増やそうとの計画であったが、地球での自然破壊や核戦争などによる環境汚染により原則輸入不可となった。
地球のように牛豚といった大型家畜の畜産品を食する機会は失われた。
それ故、肉食習慣を捨てきれない居住民のために小動物の肉が供給されていた。
流通量は少ないので値段は高く、庶民が日常的に食べるものではない。
月居住基地生まれの世代では、植物や昆虫が蛋白源として定着している。
なお、月居住基地の食品衛生対策として、地球からの生物の持ち込みには宇宙ステーションにて検疫を義務付けており、原則として口にする食事は加熱処理されている必要があった。
調査を進めると、少量生産であるが月基地で開発された食肉供給システムが見つかった。
(次回に続く)