火星居住基地の怪死

 

 

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(それぞれ いらすとやより)

 

  人口爆発や環境汚染で人類は地球外に居住地を求めます。 最初月に、次いで火星に居住基地を建設します。 しかし、何でも居住基地に持っていくことはできません。例えば食料の場合だと、牛、豚、大型魚などは宇宙船の運搬スペースや居住基地での飼育環境の建設を考えると容易ではありません。 科学の進歩を待ちましょう。 とりあえず限られたものを利用するしかないのですが、持ち出したもので居住基地で生産できないようなものは、高価で入手困難となります。 大量生産可能な食材で、地球の何とかモドキの味などが色々開発されるかも。

 

 

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目次

第一章:腫瘍の分離
第二章:火星居住基地での奇妙な死者
第三章:遺族への聴き取り(以上済んだよ)
第四章:グルメクラブへの訪問(今回)
第五章:食の調査(今回)
第六章:死因の調査
第七章:ウイルスと病因
第八章:エピローグ

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・・・再現メニュー料理だろうか、料理の映像を見ると、すき焼きのような鍋料理やハンバーガー、ホットドッグやピザなど。 
「当時は、まだ地球からの運搬食材もあったろう。 ファーストフードでも懐かしく人気があるんだなあ」

(以上前回まで) 

 

火星居住民の食事は、注文し配送された冷凍食品を温めたりフリーズドライ食品に湯を加えて戻して食べる。 調味料で個人の好みに味付けし食べるのが一般的だ。 

 

「それに比べやや歴史のある居住基地区では、食材を選択し自分好みの料理を作るような住民もいるようだ。 この居住基地での映像では、凝った料理を作っている。 さすが食通、たいしたものだ」

 

「おや、この映像の料理には“ユッケ”とか“馬刺し”とか、またこちらは“レバ刺し”との表示が付いているが、植物蛋白を使ってるのかな? それともグルメだから肉かな?」 

 

グルメクラブ事務局やメンバー数名に尋ねると、
基地でのクラブ創設来、食材はメンバーの努力で見つけ、基地食品法に則り調理を工夫している。 肉や昆虫は当初から現在に至るまでも加熱処理食材の範疇にあるが、食習慣が長くなると“地球の刺身”のような食品を好むメンバーもいた。 食中毒や感染症のリスクは頭にあったと思うが、地球での食体験の記憶は忘れがたいものかも」
とのことだった。

 

第五章:食の調査

  居住基地では肉料理も食べられたかもしれないので、夏目田博士は動物性食品について調べてみた。 

  牛豚といった大型家畜の地球からへの移動や限られた基地空間での飼育は重量や飼料を考えると無理なので、居住基地への移住は小動物に限られたはずである。 居住民の地球時代の肉食習慣は変え難く、要望に応えて現在出回っているのはせいぜい小動物の肉である。 「地球の味」で食していられるのは、加工技術の進歩の賜物である。 牛肉風や豚肉風食材を使っているのである。

 

 

(次回に続く)