火星居住基地の怪死

テクノロジー

中国の火星探査機、5月にも軟着陸へ 国威発揚狙う

2021.2.18 18:36

 【北京=三塚聖平】中国は、成功すれば米国に次いで2カ国目となる火星への軟着陸と表面探査を目指す。10日には探査機「天問1号」が火星の周回軌道入りに成功し、5~6月の軟着陸を計画。習近平指導部は「宇宙強国」を目標に掲げており、7月の中国共産党創立100年を前に火星探査を成功させ国威発揚につなげる考えとみられる。

中国海南省の発射場から打ち上げられた探査機「天問1号」を搭載した大型ロケット「長征5号遥4」=2020年7月(新華社=共同)
中国海南省の発射場から打ち上げられた探査機「天問1号」を搭載した大型ロケット「長征5号遥4」=2020年7月(新華社=共同)

 国営新華社通信によると、火星への軟着陸に成功すれば、3カ月以上にわたって探査車で地形や地質などを調べる。ただ、減速が難しく、軟着陸の成功は容易ではないとされる。

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 地球と火星が接近するタイミングを狙い、昨年7月に中国南部の海南省の発射場から国産運搬ロケットで打ち上げた。中国は、2011年にも火星探査衛星をロシアのロケットで打ち上げたが、予定した軌道に乗らず失敗に終わっている。

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 中国は宇宙開発を加速させている。昨年12月には無人月面探査機「嫦娥(じょうが)5号」が帰還し、月面の土壌サンプル回収に成功。米国と旧ソ連に次いで3カ国目、44年ぶりの成功だった。

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左図:正常ヒトDNA未知のDNAの組込まれたヒトDNA

 今回見つかったのは、正常なヒトのDNAの中に由来が不明なDNA。 この未知のDNAが病気に関係?原因? そして、この未知のDNAウイルス遺伝子がヒトの遺伝子に入り込んだもの?

 

右図:調査担当の外森博士

 夏目田博士の共同研究者で生化学者。 共同研究には免疫学者の柴里博士も参加。 

 

 

 追記:NASAが2020年7月30日に打ち上げた火星探査機「パーサヴィアランス」が、2021年2月19日に火星に着陸。生命の痕跡調査や地表サンプルの収集、地質・気象の調査を行う予定。 中国の火星探査機も5月に着陸予定。 中国は2020年12月に月面探査機が土壌サンプルを持ち帰って、米ソに次ぐ3番目の国になった。 人口爆発地球温暖化?による災害が報じられる中、地球外への移住が益々現実味をおびてくるように思われる。 

 最近、映像も送られてきているようだ。  

  

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目次

第一章:腫瘍の分離
第二章:火星居住基地での奇妙な死者
第三章:遺族への聴き取り
第四章:グルメクラブへの訪問

第五章:食の調査(以上済んだよ)
第六章:死因の調査(今回)
第七章:ウイルスと病因
第八章:エピローグ

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 夏目田は医学部門免疫学ユニットの柴里博士に連絡を取り協同研究を依頼した。 夏目田博士の父は月居住基地の免疫学ユニットの研究者であったので、柴里博士の先輩にあたる。 ただし、夏目田と柴里は近い年代だ。

 

(以上前回まで。) 

 

 夏目田博士の共同研究者である生化学者の外森博士は、患者が遺伝的に発病しやすい体質となっているかを調べるために患者遺体のいくつかの臓器のDNAを調べていた。 もちろん細胞死が起こった臓器のDNAも含まれていた。 

 また、患者DNAと比較するために、遺族にも事情を説明してDNAの採取及び分析の同意を得た。 

 DNA解析のための採取サンプル量は微量で、患者遺体に注射器のような採取機をさし、針の中に入った微量の組織片で十分であった。 CTスキャンで体の臓器位置が鮮明にわかるので、サンプル採取機のセッティングを入力すればほぼ自動的に実施される。

 遺族からは、指先からの血液1滴で十分であった。 

 それぞれの臓器からのDNA抽出及び配列解読は自動的に行われる。 外森博士は、得られたデータを用いてAI(人工知能に様々な比較をさせ、患者特有の変化を見つけさせようとしていた。 


 外森博士は、午前中の仕事を済ませ研究部同僚と昼食を摂った。 

 同僚との会話はテレワークも多いが、異分野の情報を得たり、世間話により直接会ってコミュニケーションをとることも円満な居住基地生活には大切だ。 

 食後の飲料を飲み干したところで、腕のスマートウオッチにAI(人工知能)からの通知が届いていることに気づいた。 現在行っている解析の結果が出れば連絡が来るようにしていたのだ。


 外森博士は研究室に戻って結果を見た。 

 患者患部に未知のDNA配列が存在するということだった。 一部の患者正常部においても未知のDNA配列の存在が認められた。 

 この未知のDNA配列はヒト遺伝子には認められず、どうしてこのような配列があるのか? 臓器の一部にのみ認められるということは先天的、つまり生まれつきでなく、生まれた後にこのDNA配列が組み込まれたということになる。 

 ヒトの遺伝子に外部遺伝子が組み込まれるケースで、一番頭に浮かび易いのはウイル感染である。 患者は、かつて何らかのウイルスの感染を受けたのか? 

 ウイルスには遺伝子のタイプがDNAのものとRNAのタイプのものがある。 また、ウイルスの中には感染した細胞の遺伝子に自身のウイルス遺伝子を組み込む酵素をもっているものがある。 医学系生化学者の外森博士は当然ウイルスの知識も持っていた。 
 外森博士は、「まずはウイルス感染の可能性から調べるかなあ」と遺伝子解析の結果を眺めながら、夏目田博士に連絡した。 

 それから、微生物感染の可能性を考えて、まずはウイルスを検索していき、検索にヒットするようにウイルスの種類を広くしていくべく検索条件はゆるくしていくということで合意した。

  

(次回に続く)