SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

 

 

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図:昆虫擬態(左:ハナカマキリ、中:コノハムシ、右:ナナフシ)(いらすとやより)

  花や葉っぱや小枝のような虫達。 彼らの住んでる環境に似せているのでしょうが、全く異なる生物(ここでは植物)にどのようにして似せられるのでしょうか?

 

  

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

 

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

  本SFショートではカグヤ姫は異星人との設定です。 

  先祖である異星人達は、居住している星が人口増に伴う環境汚染や流星群との衝突による予想以上の被害により、生物として存続していくために他の星への移住を余儀なくされました。

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目次

第1章:異星人(現在

第2章:地球

第3章:カグヤ姫

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

  生物達の科学技術は異星への移住が可能なレベルであったし、彼らは元来遺伝的に冬眠ができたのであった。 

  成長過程で冬眠期間を調整できて、不遇な環境を冬眠によりやり過ごすことができた。 

 


  こうして、他の星で発展した社会を再構築しようと希望する者を乗せた宇宙船は
出発した。

 

 

 

第1章:異星人

 

・移住船内の二つの異星人

     実は、この星の優位な生物は2種類の生物より構成されていた。 寄生種被寄生種である。 

  寄生種といっても被寄生種の体内に入るのではなく、寄生種の子孫(養子)を被寄生種に気づかれることなく被寄生種の子孫に混ぜることにより、被寄生種に子孫を育ててもらう(乳母)のである。 

  このために、寄生種(養子を出す種)は被寄生種(乳母の役をする種)に少なくとも外見上は見分けがつかないように擬態する能力に長けていた。 

  しかも、被寄生種が一つとは限らず、異なる種類の被寄生種に対しても、相手に応じた擬態ができるような優れた能力を持っていた。

  数から言えば、被寄生種が圧倒的に多く、この星の社会を作り上げていたといっても過言ではなかった。 

  上記に述べたような寄生種の能力により、寄生種は外見上被寄生種と見分けがつきにくく、ただ子孫の生育は被寄生種の子孫の集団保育にこっそり紛らわせて育ててもらっていた。
 
     流星の衝突で生存圏を脅かされた生物達に、さらに忍び寄った危機があった。  

  星の病原微生物による感染である。 

  星での社会では猛威を振るうことなかった病原菌が、環境変化で被寄生種への感染機会が増えた。 

  しかも、病原性が出てくるまで比較的時間を要するのである。 

  つまり、この病原菌の増える速度が遅いのである。 

  ゆっくり増えるので、感染しても気づきにくく、気がつけば治療困難となっているのである。 

  移住船に乗った生物達にも不幸にも既に感染者が含まれていたのである。 

 

   幸か不幸か、この病原菌に対して被寄生種は遺伝的に感染に弱く、寄生種は感染に強かったのである。    

  寄生種は、被寄生種に対応した擬態ができるためには外界の多様な環境に適応できるように、外界からの多様な刺激に対抗していかなければならなかった。 

  そのために、病原菌も含めた外部からの侵入に対しては、寄生種は体内で多様な分解酵素を作り出しており、あらゆる侵入してくるものを破壊できるのである。 

  一方、被寄生種は地球人に似たところがあって、優れた科学技術力で薬剤での消毒ワクチンにより病原体に対抗していた。 

  つまりは、遺伝的に被寄生種は寄生種より抗病性という点では劣っていた。 

 

  したがって、いかに宇宙船での冬眠生活といっても病原菌は冬眠することもなく、被寄生種間でスピードはかなり遅くなるものの着実に増えていく。 

  宇宙船でのいろいろな対応は主に多数派の被寄生種が多かったが、次第に病気の被寄生種に代わり元気な寄生種が主導する機会が増えていく。 

  しかし、被寄生種と寄生種は外見上見劣りなく作業をこなしてきており、共に困難にも対応してきた経験を共有しているので、寄生種主導に変わって異星人社会が機能不全に陥るようなことはまったくない。 

  ただ、寄生種は子育てが遺伝的に苦手という欠点があった。

 

 

(次回に続く)