SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 
左図:ドローン 中図:偵察虫ロボット 右図:スタッフ会議(いずれも”いらすとや”)

  カグヤ姫は、職業上定例の薬草採取に来ていた老夫婦一行に偶然の中に見出されました。
  子供達が既に独り立ちした老夫婦は、かわいい竹の中の赤ちゃん(カグヤ姫)を家に連れ帰り育てようと決めます。

  しかし、この偶然の出会いは、カグヤ姫の養父母を探していた異星人達により何年も前に周到に計画されたものだったのです。

  異星人達は、ドローンロボットを使って老夫婦について養父母としての適性を調べた結果に基づき、探索スタッフ議論し中央の承認を得ました。

  養父母合格により、スタッフは自然なカグヤ姫との出会い装うべく立てた計画を実行していったのです。

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

 

  育ての親候補として人の良さそうな老夫婦が選ばれた訳ですが、果たして異星人達が目論むようにカグヤ姫は育っていけるのでしょうか?

      

  異星人達は、世界中に出されたカグヤ姫のような里子達が、幸福な生活を送れるように願いながら観察を継続していきます。 

  何故なら場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

____________________________________

 

目次

第1章:異星人

第2章:地球

第3章:カグヤ姫(現在

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

___________________________________

(前回まで)

 

 いわゆるオキシトシンという愛情ホルモンが体内で作られ分泌されるのである。

 元々、異星人は進化の過程で生存競争に生き抜く能力を獲得していた。 

 つまり、例え異種の子供に混じった場合においても、子供は義理の母親に愛情ホルモンを出させることができるのであった。 

 もちろん、かつての昆虫様の被寄生種生物の場合とは異なっていたが、やはり子孫を慈しむメカニズムが地球人にも働いたのである。 

 どうも生物は子孫を残す能力を自然と獲得していくものらしい。

 

 

 また、お婆さんが気付いたのであるが、

「赤ん坊が急に大きくなりましたよ。 ほら、体がの容器に収まっていたのが、今は手足がはみ出していますよ」

「ほんとうだ。 口にするものは何も与えていないのだが・・」

「竹の中で居心地が良かったのか、体の成長が随分立派ですよ」

「口に繋がっている袋の中身に栄養があるようだね」

「現在は健康に問題なさそうなので、当分は母乳じゃなくて、今口にしている寒天様の物を続けて与えてみようか」

「成長を観ながら、赤ちゃんの離乳食に置き換えていこうよ」

「そうですね。いずれは私達の食生活に慣れないとね」

 お爺さんお婆さん一行は予定通りの薬草採取を終えて帰路に発った。 

 一行は、予想外の”宝物”を拾ったことで喜々としてその家路への足取りは皆軽かった。

 

ただ、こうした一行の一連の動きを見つめる”宇宙(異星人達)からの目”があった。

 

  今で言うドローンのような小型の無人機も上空より観察するのに使われた。 

  その他に、家屋内部や自然界の偵察に小型の無人ロボット探査機も利用していた。   

  当時の地球にそのような高度な機械はなく、地球人が目にしても精密機械の概念がなく、せいぜい動物か昆虫と思い込むだろう。 

  異星人の科学技術は地球人には遥かに及ばないところがある。 

 

  話を戻すと、こうした育ての親としての対象候補は次第に狭められたが、お爺さん達は有力候補に残り、遂には最終候補となった。 

  異星人達は、カグヤ姫とお爺さんを接触させる機会を伺っていた。 

  そこで、お爺さんが薬草取りに出かけているときに出合うように段取りを整えることとした。 

  薬草取りの時に偶然カグヤ姫に出会うように細工するのである。  

 

  老夫婦が竹の中の赤ん坊に出会う先々数年前のことであるが、異星人の小型探査艇の中でスタッフ達の話し合いがもたれた。

 

 

(次回に続く)

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

左図:ヒトの胎盤の赤ちゃん 中図:カグヤ姫 右図:老夫婦(いずれも”いらすとや”)

  勿論、ヒト(地球人)の赤ん坊はお母さんのお腹で育ち生まれてくるわけですが、カグヤ姫はちょっと違っての中に見出されました。
  子供達が既に独り立ちした老夫婦は、かわいい竹の中の赤ちゃん(カグヤ姫)を家に連れ帰り育てようと決めます。

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

 

  また、育ての親候補は人の良さそうな老夫婦といったところでしょうか?

  候補の老夫婦は漢方薬屋さんらしい。

 

    

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

  場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

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目次

第1章:異星人

第2章:地球

第3章:カグヤ姫(現在

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

 

 赤子は生まれてすぐに産声をあげるのだが、この子はよく観察すると昼寝をしているように見えた。 

 竹節の中に居たにも関わらず静かに呼吸ができていた。 

 さらによく見ると、頭部は透明膜に覆われていて、膜の中身は液体が満たされており寒天様の大小の固体が浮遊していた。 

 お爺さん達は扱い方が分からなかったので、切り出した竹を乳母車代わりにして宿舎に連れ帰ったのだった。

 

 

「さて、これからどうしようか? こんな赤ん坊の状態ははじめてだよ」

「かわいいのう。 竹の中で育っているところを見ると、とても普通の親がいるとは思えない。 しかし、得体が知れないからといって放っておくのもなんだか可哀想だから、取り敢えず家に連れて帰ろうか?お婆さん」

「お爺さん、この子かわいいから育てましょうよ。 赤ん坊を育てるなんて久し振り」

 

 皆であれやこれやと考えを述べるのだが、竹の赤ん坊は静かに寝ていて緊急性がないのである。 

 袋を被った状態だが、息ができるようなのであえて袋を破る必要もなさそうだし、泣けば空腹かとも思えるが静かなのである。 

 こうして知らず知らずのうちに時間が経つと、手足を動かすようになり、頭部の袋の中の液体も減ってきて、袋も小さくなって口と繋がっているだけとなっていた。 

 周囲の一人が気付いたのであるが、袋の中の小さな寒天を赤ん坊が口に入れていたのである。 

 栄養を摂っているのだろうか?

 

 お爺さんは気付かなかったが、この白い袋に触ったり破ったりすると赤子に対する敵愾心がなくなり、愛情が生まれてくるのである。  

 袋の表面や内部の気体には目に見えないある因子が含まれており、手に着いたり肺に吸い込んだりすると体内に吸収されて幼い子供を慈しみ育てたいという気が湧いてくるのである。  

 いわゆるオキシトシンという愛情ホルモンが体内で作られ分泌されるのである。  

 元々、異星人は進化の過程で生存競争に生き抜く能力を獲得していた。 

 つまり、例え異種の子供に混じった場合においても、子供は義理の母親に愛情ホルモンを出させることができるのであった。 

 もちろん、かつての昆虫様の被寄生種生物の場合とは異なっていたが、やはり子孫を慈しむメカニズムが地球人にも働いたのである。 

 どうも生物は子孫を残す能力を自然と獲得していくものらしい。

 

(次回に続く)

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

左図:蛍 中図:蛍の乱舞 右図:竹林(いずれも”いらすとや”)

 

 異星人である赤子のカグヤ姫に対面することになる老夫婦は、伴をつれて定例の薬草採取旅行中で自営の薬草園やその近隣の里山を訪れています。 

 丁度蛍を目にする季節で、老夫婦の住む地方都市と違いほとんど灯りの少ない田舎では自然環境も保たれており、清らかな水の流れる河川沿いでは遥かに賑やかなの群れを目にすることができます。

 老夫婦達は一日の作業を終え夕刻の散歩がてら蛍狩りを楽しみます。

 蛍の群れに導かれるように薬草園のそばの竹林まで来た一行は、一節の竹が蛍のように光っているのを見つけます。 さて・・。

 

 今回の図は、老夫婦一行が薬草採取旅行先での夕刻の散策で観た風景です。

 漢方医のお爺さんは、常備するために定期的に伴を連れて採取旅行にでかけます。

 今回の場合は何かハプニングが・・?

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

 

  また、育ての親候補は人の良さそうな老夫婦といったところでしょうか?

  候補の老夫婦は漢方薬屋さんらしい。

 

    

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

  場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

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目次

第1章:異星人

第2章:地球

第3章:カグヤ姫(現在

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

 

 老夫婦が薬草採取に来ている里山周辺には、栽培している薬草園や村民の耕している畑、地方都市に戻る途中の平野では田、といった人手が加わった場所があるが、大小の河川は今よりはるかに生息に適しており、あちこちで大群が飛び交う風景が見られる。 

 現代人には滅多にお目にかかれない神秘さがあるが、当時の田舎に住む人々にとっても珍しくない風景ではあるが、小さな光の大群が海の渦のように舞い、その渦の中に身を委ねても決して熱くない不思議な感覚はやはり神秘的であった。

 

 

 

 老夫婦らは薬草園での作業の後に夕食をとり、何人かで散策に出掛けた。 

 昨日の散歩でが少し飛び始めていたので、本日は飛んでいる数が増えているかなと期待しながらであった。 

 予想通りにぎやかに飛んでいたので、しばらく散歩しながら観察を続けることになった。 

「今晩もにぎやかに飛んでいるなあ」

「一部の大群が薬草園の森の方へ移動しているなあ」

「何か、惹きつけるような何かがあるのかな?」

「ちょっと行ってみましょうか」

ー「森の低いところに広がって、まるで光の海の中から木が生えているようだわ」

「あそこの大きな竹の節が特に明るく大きく光っていますね」

「大きな光だなあ。蛍が一箇所に集まっているのかな」

「ちょっと、そばに行ってみましょう」

ー「蛍の集合でなくて、竹の節の一部が光っていますね」

「我々が近づくとより明るくなりましたよ」

「ちょっと離れてみましょう」

ー「ほら、明るさが弱まった」

「やっぱり、近づくと明るくなりますよ」

「まるで我々の存在を感知できるみたいだ」

「よし、明日またここに道具を持って来よう。 明日も同じようならこの竹を切ってみよう」

「誰か目印をつけてくれ。 ひもを巻いとくれ」

 

    翌夕方少し早く老夫婦は伴を連れて、ひもで目印をつけた光る竹の場所にやって来た。 

「まだ辺りは暗くないですが、なんだか竹の節が光っているようですよ。 蛍はまだ周りに居ないのに」

「そうじゃなあ。おまけに、よく見ると明るさが周期的に変わっとる」

「なるほど、我々にこちらへ来いと呼んでいるようですね」

   お爺さんは光る節の部分を傷つけないようにして竹の上下を切り離し、取り出した節の部分の中身を傷つけないように、慎重に回りを削っていくよう指示した。 

 少しずつ中の様子が見えてきたが、節の中に白い膜で囲まれた物があるようだ。 

 しばらく様子を見ていると、丸い白い物はゆっくりと動くようだ。 

 慎重に外を触ると、中は柔らかく弾力があるものが充填されている中で、動く物があるようだ。 

 動く物の回りに柔らかい充填剤が詰められている感じであった。 

    理由は分からないが、穴のない膜に包まれて生き物らしきものがいるようなので、お爺さんの指示で膜の表面に少しずつ切れ目を入れていくこととなった。 

 もし、生き物であれば窒息の恐れがあったのだ、大丈夫か? 

 切れ目が広がるに連れ、少しずつ中の様子が見えてきた。 

「あれ?これは赤子の手に見えるが・・」

「赤子らしいので、頭の部分が外に出るように膜を切って息をさせて!」

ー「驚いたなあ。こんな中にいて無事に生きているぞ」

「今晩はすぐ宿舎に帰って赤子の世話をしなきゃ」 

 突然のことなので、一行はとりあえず薬草園の宿舎へと連れ帰り、赤子対策を考えることにした。 

 赤子は生まれてすぐに産声をあげるのだが、この子はよく観察すると昼寝をしているように見えた。 

 竹節の中に居たにも関わらず静かに呼吸ができていた。 

 さらによく見ると、頭部は透明膜に覆われていて、膜の中身は液体が満たされており寒天様の大小の固体が浮遊していた。 

 お爺さん達は扱い方が分からなかったので、切り出した竹を乳母車代わりにして宿舎に連れ帰ったのだった。

 

       

(次回に続く)

 

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

左図:薬草 中図:薬研 右図:漢方薬 (いずれも”いらすとや”)

 

 今回の図はお爺さんの職業に関係する物です。 

 若い頃は漢方医として患者の治療にあたってましたが、次第に薬がないと医者がいても治療が十分出来ないことに気づき、常備できるように種類と量を確保するため尽力してきました。 

 そのためには弟子達とともに野山に定期的に採取旅行したり、自宅近隣や里山にある薬草園で多くの種類を栽培していました。

 今回は、自宅を離れて薬草採取にお婆さんや弟子達と一緒にでかけます。さて何かハプニングが起こりますかな?

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

 

  また、育ての親候補は人の良さそうな老夫婦といったところでしょうか?

  候補の老夫婦は漢方薬屋さんらしい。

 

    

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

  場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

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目次

第1章:異星人

第2章:地球

第3章:カグヤ姫(現在

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

 

 お爺さんとお婆さんの息子及び娘はそれぞれ既に独立して離れた地方で家庭を持っていた。 

 二人共薬関係の仕事をしていた。

 孫達も地理的に離れているのでなかなか会えず、二人だけの生活ではなんとなく寂しく感じるようになった。 

 このなんとない物足りなさで、機会があればカグヤ姫のような孫くらいの年頃の子供の世話を容易に引き受けるような背景にはなっていた。

 

 

 実は、逆上ること数年前にこうした老夫婦は既に異星人達の観察の対象となっていた。 

 地球人のカグヤ姫の育ての親となる者を探索していたのである。 

 

 小型侵入艇の着陸地点は“人間”という地球の支配生物が踏み入らない山間部であったが、 山麓部には”“があり、住人は植物を住居周辺で栽培したり、他の生物を狩猟したりして生活していた。 

 村の住人は少し離れた、人間がより多数で住んでいる”“へ物々交換するためにたまに行くようである。 

 町や村への移動は徒歩や、家畜と言う他の生物を利用して行き来している。 

 人間間の争いではと言う武器で相手を殺してしまう残忍さがある。 ただ、すべての人間が刀を使用するわけではなく本来多くの人間は好戦的ではないようである。

  

 老夫婦屋敷地方都市部にあるが、子供たち家族が近くにいる間は頻繁に行き来して暇を感じるような生活ではなかった。 

 そんな時期には、お婆さんを留守番にして、お爺さんは定期的に自分の管理する薬草園里山薬草採取弟子使用人を連れ出かけるのである。 

 薬草を常備しておくためにも、薬草の各収穫時期を考慮しながら定期的に採取旅行に出かけていた。 

 しかしながら、老夫婦も50歳を過ぎると、長年留守番をしてきたお婆さんの労をねぎらい、子供達家族の離れた屋敷に一人取り残すよりは夫婦で薬草採取旅行をしようとお爺さんは考えるようになった。 

 薬草採取もお爺さんが指図すれば、力仕事は弟子たちに任せられるのだ。 

 工面して作った時間で、夫婦の談笑や散歩や観光をした。 

 料理人にお婆さんが少し指図することにより一行の旅行中の食生活も問題なしで済んだ。 

 夕食を囲む一行は、現代で言えば丁度キャンプを楽しんでいるような和やかな雰囲気に包まれていた。 

 長年の付き合いの弟子や使用人は家族同伴の者もいた。 

 丁度この時期には、近くの清流でがそろそろ見られる頃であった。 老夫婦とお付きの何人かで食後蛍狩りに出掛けた。

 

    現代だと、夜でも各家庭には電灯が、また地方都市位だとネオンが明るく、暗闇の淡い光に注意を払う者も多くない。 

 この当時は灯りの明るさは比べようもなく低く、勿論数も少ない。 

 しかも農薬などの化学物質などほとんどないため、空気や河川の環境汚染もまったくない。 

 老夫婦が薬草採取に来ている里山周辺には、栽培している薬草園や村民の耕している畑、地方都市に戻る途中の平野では田の人手が加わった場所があるが、大小の河川は今よりはるかに生息に適しており、あちこちで大群が飛び交う風景が見られる。 

 現代人には滅多にお目にかかれない神秘さがあるが、当時の田舎に住む人々にとっても珍しくない風景ではあるが、小さな光の大群が海の渦のように舞い、その渦の中に身を委ねても決して熱くない不思議な感覚はやはり神秘的であった。 

 

 

       

(次回に続く)

 

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

 

左図:栄養剤 中図:昔話の老夫婦 右図:薬研(やげん)(いずれも”いらすとや”) 

 

 今回の図は栄養剤昔話に出てくるお爺さんとお婆さん漢方薬調剤で見かける道具ですが、本日の話でどう関係があるのかな?

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

 

  ただ、地球人とともに生活するには、地球人の餌(食事)が異星人に利用可、つまり食材として適しているかどうかも調べなければなりません。 

  異星人に有害なものは避けなければいけませんし、手に入らない必需品は自分達で用意しなければなりません。

  異星人に不可欠な栄養は別に取らなければなりません。

  現代ならさしづめ栄養剤の様なものでしょうか?

 

  また、育ての親候補は人の良さそうな老夫婦といったところでしょうか?

  候補の老夫婦は漢方薬屋さんらしい。

 

    

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

  場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

____________________________________

 

目次

第1章:異星人

第2章:地球

第3章:カグヤ姫(現在

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

 

 また、地球人達は、食材の味だけでなく保存にも有効な微生物による発酵食品を積極的に利用している。 

 味や栄養のバラエティーが広がる利点があるようだ。 

 前述したように、後に異星人のカグヤ姫は地球人の老夫妻に育てられることになるのだが、老夫妻は大陸(中国)文化の知識があり、健康に良いと積極的に豆の発酵物(今の納豆のようなもの)を家族や身内の者達に食材の一つとして取らせていた。 

 一緒に暮らすようになったカグヤ姫は少量から恐る恐る食したが、幸い問題なかった。

 

           

 ちなみに地球の食料であるが、異星人達も消化吸収でき栄養とすることができる。   

 ただし、必須栄養素が地球人と異星人とは完全に一致はしていないため、異星人達は地球の食料から異星人用の栄養素を作り出す必要があった。 

 そのために異星人達は、地球人達の栄養素を異星人達に必要な栄養素に変換できる酵素類を見つけ出して大量培養し、さらにそれを錠剤化し、地球人との一緒の生活において滋養強精の名目で定期的に飲み健康を維持するようにした。  

 つまり具体的には、地球人の腸内細菌と異星人の腸内細菌を選抜して、地球の食べ物を細菌が消化して得た中間産物を、さらに異星人の細菌が異星人の栄養となるように変えるのである。 

 こうして得た錠剤に異星人の健康強化な栄養分も加えられた。 最近の地球で言う栄養剤とか栄養補助食品といったところである。

 

 

第3章:カグヤ姫

育ての親

 

   一方、やがてカグヤ姫を引き取り育てることになる老夫婦はそんな事とは露知らず、異星人達の着陸地点の山間部から数日の旅行で到着する領主の地方豪族を長とする地方都市に住居を構えていた。

 

 お爺さんは、中国伝統医学を学んだ僧医を師匠とする弟子の一人であり、地方の有力者を主に、比較的広く庶民にも医療を施す師匠の活動の一翼を担っていた。 

 ただ、歳を取ってきたことでいろいろなを揃えて、医者や人々の薬を必要とされる場合に提供する薬問屋か薬局のような仕事が多くなった。 

 また、請われて医療関係者や一般庶民の前で薬や衛生について講話するようになった。 

 今まで患者に1対1対応してきたが、体力的に厳しくなってきたので、広く人々の衛生面や健康面の維持に役立とうと努めることにしたのだ。 

 それでも、薬草の効能、採取できる場所や時期、調整法などの豊富な知識があるため、今でも定期的に弟子や使用人達を連れて山へ薬草採取に行っていた。

 料理人や動物撃退のための猟師や弟子など薬草採取人員などを引き連れ、半月から一月ほどの採取旅行である。

 

 お爺さんとお婆さんの息子及び娘はそれぞれ既に独立して離れた地方で家庭を持っていた。 

 二人共薬関係の仕事をしていた。

 孫達も地理的に離れているのでなかなか会えず、二人だけの生活ではなんとなく寂しく感じるようになった。 

 このなんとない物足りなさで、機会があればカグヤ姫のような孫くらいの年頃の子供の世話を容易に引き受けるような背景にはなっていた。

 

 

(次回に続く)

 

 

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

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左図:寄生虫サナダムシ 中図:シイタケ 右図:納豆 (いずれも いらすとや)


 今回の図は寄生虫と食品のキノコ発酵食品の代表の納豆ですが、本日の話でどう関係があるのかな?

 

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

  でも、異星人達には感染症に対するトラウマがあります。

  そのために、地球に存在する微生物病原性を調べます。

  病死した地球人の原因微生物について異星人への影響を調査します。

  

  ただ、地球人とともに生活するには、地球人の餌(食事)が異星人に利用可、つまり食材として適しているかどうかも調べなければなりません。 

  異星人に有害なものは避けなければいけませんし、手に入らない必需品は自分達で用意しなければなりません。  

 

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

  場合により、異星人達は地球を離れて新たな移住星候補を探索する旅に出なければなりません。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

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目次

第1章:異星人

第2章:地球(現在

第3章:カグヤ姫

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

___________________________________

(前回まで)

 

    実際に、地球の生物の中には子孫の卵や子供を餌にするケースも観察されていた。 

 さらに観察と分析を続けると、地球人は乳児期には自分達の分泌する乳で育てるが、やがて動物由来の乳や肉などを餌にし始めて、その後生涯それを食すると判明した。 

 ただ、地球各地で餌の種類は多いものの地球人は共食いするような生物ではないと判断された。 

 異星人達の子孫が、地球で共食いの危険性のある生物との共存は避けなければならないのは当然である。 

 この異星人達の心配は幸いなくなった。

 

 

    消化管を調べるうちに地球人には寄生虫がいることが多いことも判った。 

    特に胃腸に留まっているのが殆どの調べたケースには認められた。 

    筋肉とか他の臓器での寄生が認められるケースもあった。 

    栄養分は幾分寄生虫の方に摂取されるが、必ずしも寄生されても地球人には致命的ではなさそうであった。 

    寄生虫やその虫卵が人の排泄物とともに体外に出て、ついで人の食用になる生物や植物に取り込まれたり付着したりすると、その汚染された食物を食べて感染していくようだ。 

    野菜を栽培して生活している農業従事者は、人の排泄物発酵させたものを野菜の栄養素として利用している。 

    こうして地球人の寄生虫というものは、経口的に感染するサイクルが繰り返されて、人への感染が継代的に継続していくものと考えられた。 

    異星人達が経口的に感染、つまりは地球の食べ物に付着したものを取った場合に地球人と同様に寄生が成立するのか?あるいは感染した場合には地球人と同様にそれ程大きな病気を起すことはないのか?など疑問点が残っていたが、できるだけ取り込まないようにした方が良さそうだとの結論であった。 

    幸い少し加熱すれば死滅することがわかり、地球人と同じ内容の食事をとる場合には加熱されたものを選ぶか、自分で加熱できる場合は加熱後口に入れるのである。 

 

    実は、後述のカグヤ姫の育ての親となる老夫婦は裕福な知識人層であり、しかも医薬に関する知識もあったので、多くの使用人達も自然と栄養面や衛生面では当時の比較的健康的な生活を送っていた。 

 科学技術で地球人より進んでいる異星人の目から見ても、老夫婦の生活は根拠のない所もあったが貧しい一般地球人よりは健康的衛生的であった。 

 老夫婦との生活は、異星人が彼らに気づかれることなく自分流にアレンジできたのである。 

 一方、当時のやはり多くの貧困層の一般地球人は健康、栄養、衛生、感染などの概念がなかった。

 わざわざ実験しなくても、異星人達が地球人と生活する場合には、仲間の共同生活ルールとして周知徹底すれば済みそうだった。 

 

 異星人達はいわゆるキノコを培養し比較的多くを食物とするが、地球人も多くはないがキノコを食べるようである。 

 森や山の近くに住んでいる者が、自然に生えているキノコを採取して食料にしているようである。

 カグヤ姫の育ての親となる老夫婦も薬学の知識があり、当然食用キノコと毒キノコの区別ができた。 

 ただ、一般的な食べ物ではなく、有害なキノコの区別ができる人々が食しているらしい。 

 異星人達のキノコは長く培養されてきた歴史があり、ほぼ日常食と言っても良いくらいである。 

 もちろん、地球人に有害無害といっても同様に異星人にも有害無害であるとは限らないので、積極的には地球のキノコを食べないようにするのが無難であった。 

 地球人と異星人達のキノコの種類が異なるので、異星人の健康に有益なキノコ成分は栄養補助剤という形で錠剤を経口的に摂取する対策をとった。 

 

 また、地球人達は、食材の味だけでなく保存にも有効な微生物による発酵食品を積極的に利用している。 

 味や栄養のバラエティーが広がる利点があるようだ。 

 前述したように、後に異星人のカグヤ姫は地球人の老夫妻に育てられることになるのだが、老夫妻は大陸(中国)文化の知識があり、健康に良いと積極的に豆の発酵物(今の納豆のようなもの)を家族や身内の者達に食材の一つとして取らせていた。 

 一緒に暮らすようになったカグヤ姫は少量から恐る恐る食したが、幸い問題なかった。

 

 

(次回に続く)  

 

SF異星人カグヤ姫物語

 

 

 

 

 

 

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左図:ホクロ 中図:ジビエ動物 右図:海産物 (いずれも”いらすとや”)

  今回のストーリーに関係するホクロやジビエ動物と海産物です。 

  ホクロと(地球)人の食材らしいのですが、ストーリーの中でどう登場するのでしょうかね?

 

  本SFショートではカグヤ姫異星人として描かれています。 

  この異星人は地球で言えば昆虫に似た生物です。 

  しかも、全く異なる2つの生物より成る社会を作っています。 

  1つは大部分を占める生物ですが、もう1つは少数派で多数派の生物に気付かれないように擬態の能力により多数派に紛れて生存しております。 

  カグヤ姫は少数派の生物に属します。

  

 

  カグヤ姫達異星人は、故郷の星が環境破壊などで住みづらくなり、一部は他の星での生存を期待して故郷の星を出発しました。  

  しかしながら、移住船での居住星の探索の旅の途中に仲間を感染症で失います。

  残ったカグヤ姫達の生残には、ライフサイクルの維持に不可欠なパートナーと成りうる生物を見つけないといけません。

  つまり、失った仲間がやってくれていた子孫の生育を、かわりに地球人の手を密かに借りようと企てます。

  でも、異星人達には感染症に対するトラウマがあります。

  上図にあるように、当時の土葬の地球人の死因を調べたり、異星人に病原性を示す地球の微生物の有無を調べたり、予防は接触を避けることですが、正体がわかって可能ならばワクチンで自分の免疫力をあげるなどです。

  異星人達は、移住可能かの判断材料のデータを現在収集中です。

 

  今回、上図食材らしき物を示した理由は、地球人はどのような物をにしているかが異星人達には重要だからです。 

  紛れて一緒に暮らす場合に、地球人が本来共(とも)食いするような生活をする生物なのか知ることは地球への移住条件の重要な判断材料です。

  異星人の仲間が地球人に共食いされると困っちゃうなあ~。

 

  本SFは、題名の通りカグヤ姫を含む異星人達の立場でみた物語です。

  さて、かぐや姫が出てくる「竹取物語」ですが、あらためてWikipediaを見てみますと、平安時代に成立した物語で、作者不明で、正確な成立年も未詳とあります。

  「源氏物語」の文中にも記述があり、日本最古の物語だそうです。

  9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、かなによって書かれた最初期の物語の1つだそうです。

 

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目次

第1章:異星人

第2章:地球(現在

第3章:カグヤ姫

第4章:求婚

第5章:領主三角(みかど)氏

第6章:カグヤ姫の憂鬱

第7章:帰還

第8章:エピローグ

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(前回まで)

 

 地球の微生物のようにプラスミド内に抵抗遺伝子を獲得した場合には、その子孫の微生物も抵抗性が遺伝していくように、異星人達の常在菌も地球の病原菌に対する抵抗性を遺伝することができた。 

 こうした抵抗性の常在菌は培養して、地球で生存しようとする異星人達に経口的に与えられた。 

 我々の時代の健康飲料のようなものである。

 

 

 

 ちなみに、異星人の皮膚表面には皮膚の菌を食料とする生物も生存していた。 

 地球人で言えば、ちょうどシラミのようなもので地球人の皮膚片とか地球人の食べ残しを餌としているように、また魚で言えば吸着して魚の食べ残しを餌にするコバンザメのように、異星人の皮膚表面で増殖した菌を餌にしていた。 

 結果として、異星人達の皮膚を清潔に保つことになった。 

 よく見ると、地球人のホクロに似ていたが、この生物は異星人の体表を移動した。   

 ホクロが動くのである。 

 異星人の皮膚上で菌が増殖した結果、その周囲に拡散していく菌体成分の増加を検知した本生物は、その菌を餌として食するために菌のいる方向に移動していくのである。   

 しかし、さすがによく観察し続けないと移動を気付くものはいない。 

 異星人は、この生物を皮膚に誘引する何らかの成分を分泌するか、あるいは排除すべき寄生生物とみなさない免疫寛容などの、皮膚上での生存を許す何らかのメカニズムを遺伝子上に持っているらしい。 

 元々の異星人には、感染で死亡した被寄生種と感染に生き残った寄生種がいたが、この皮膚上の生物は死亡した寄生種には見当たらず、感染抵抗性を示した寄生種には見いだせたので、おそらく遺伝的な違いが影響しているのだろうとの推測である。 

 異星人たちの研究者にも科学的な結論に至らなかった。 

 蛇足であるが、幸いこの生物による異星人への病原性は健常である限り報告されていない。

 

 異星人達は、地球人達の消化器内容物や排泄物を調べた。 

 分析することにより、ある地球人の食物植物が主であったり、別の地球人では動物が主であったりと個体差があった。 

 海辺では魚や貝等や海藻などの海産物が、山奥にいくと四足動物が多い傾向があったが、街に住む裕福な地球人は満遍なく食していたようである。

 

 地球の日本以外のある地域の探査チームから、多くの成人の胃内容物に乳成分と筋肉や内蔵成分が検出され、調査中であるとの報告があった。 

 地球人の幼児には共通して乳成分が検出され、幼児期には不可欠な食物と判断された。 

 しかしながら、成長するに連れ次第に乳成分は減少していく。 

 ただしある地域においては、筋肉や内蔵の成分に植物成分の含有量が増えるものの相変わらず乳成分が含まれる。 

 探査チームのスタッフはこの結果から、離乳食を食べ始めたような乳呑児を成人が餌にしているので成人の胃内容物に検出されるのではとの可能性が出てきた。 

 つまり共食いの可能性である。

 実際に、地球の生物の中には子孫の卵や子供を餌にするケースも観察されていた。 

 さらに観察と分析を続けると、地球人は乳児期には自分達の分泌する乳で育てるが、やがて動物由来の乳や肉などを餌にし始めて、その後生涯それを食すると判明した。 

 ただ、地球各地で餌の種類は多いものの地球人は共食いするような生物ではないと判断された。 

 異星人達の子孫が、地球で共食いの危険性のある生物との共存は避けなければならないのは当然である。 

 この異星人達の心配は幸いなくなった。

 

 

(次回に続く)