怪死患者の遺品の中には、患者が幼い時のグルメ・クラブでのパーティーの映像があった。
映像は患者とその家族らがパーティーを楽しむ姿が写っていた。
映像には、患者家族とは無関係な親子もたまたま写っていた。
その親子は親戚のクラブ・メンバーの代理で時々参加していた。
その親子の子供の方は、親について行ってパーティーを楽しんだ記憶は残っていなかったが、大きくなって研究者になった。
上の左図のように、親子での外食は楽しいものであった。
一方、亡くなった患者は生前年齢的に肥満気味を気にするようになりダイエットを始めた。
大きくなった腹囲をへこませようと、上の中図のようにジョギングや右図のような食事制限を始めたが、思うような効果がなかなか得られず時々悩みを口にするようになった。
仕事が一番、自身の健康は二の次であったので、思い通りにならない健康管理はストレスとなっていたのか?
なお、「火星居住基地の怪死」もいよいよエピローグです。
もう少しで終了しますが、ここまで読んでくださっている読者の方々にはひたすら感謝です。
終了後には、新しく「竹取物語」のカグヤ姫を宇宙人説として、SFショート「SFカグヤ姫ストーリー(仮題)」を始めようかと考えています。
その節にはまたよろしくお願いします。
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目次
第一章:腫瘍の分離
第二章:火星居住基地での奇妙な死者
第三章:遺族への聴き取り
第四章:グルメクラブへの訪問
第五章:食の調査
第六章:死因の調査
第七章:ウイルスと病因
第八章:エピローグ(現在はここ!)
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D夫人の家族はしばらくして遺品の整理をしていた。
「D夫人の幼い頃の映像もあるね。 お父さんに連れられてパーティーに参加しているようだ。
この映像には“グルメクラブ・パーティー会場”の表示も映っている。
さすがグルメクラブだけあって、テーブル上には御馳走がたくさん並んでいるね」と親戚の一人。
ただ、こうした映像を見ている遺族には気が付かないこともあった。
(以上前回まで。)
映像の中心にはD夫人親子がいるが、パーティーにはクラブのメンバー以外にも招待客がいて、映像の隅には親子が映っていた。
その子供の面影が夏目田博士、外森博士、柴里博士のいずれかに残っていることに気付く者など遺族の中にいるはずもなかった。
映像に撮られたときは幼い時であり、たとえ博士本人が見ても気づかないかもしれない。
実はグルメ・クラブメンバーであった親戚の代わりに父親が時々参加していたが、当時は一人っ子だった博士の世話をするために一緒に連れて行っていた。
博士は幼かったので参加の記憶はなかったし、父親が正規メンバーでなかったので映像の記憶はないし、映像があっても見た記憶はなかった。
D夫人の様に、子供の時にウイルス感染すると体内に潜伏し、重い病気になったり老化したりで体の免疫力が低下するとそれが刺激となって潜伏の抑制が取れ活動し始めると一般に考えられている。
実は、中年になりお腹の脂肪が気になり始めたD夫人は、若い時にはやったことのないダイエットとエキササイズを始めたが、効果が出ないなと少し頭を悩ませていた。
夫人の家族は、ややスリムになって以前より健康的になったねと声をかけていたのだが、果たして潜伏ウイルスが活動し始める引き金になったか?
(次回に続く)