宇宙基地の居住民も健康のために運動します。ただ当然スペースが限られていますので地球の様にはいきません。 夏目田博士もジムに行ったり、ジョギング・ランニングコースを利用してます。
夏目田博士は、原因不明の怪死の究明に新たに免疫学者の柴里博士に共同研究を依頼します。 既に生化学者の外森博士とも共同研究しております。 研究が進み病因が解明されるといいよね!
追記:NASAが2020年7月30日に打ち上げた火星探査機「パーサヴィアランス」が、2021年2月19日に火星に着陸。生命の痕跡調査や地表サンプルの収集、地質・気象の調査を行う予定。 中国の火星探査機も5月に着陸予定。 中国は2020年12月に月面探査機が土壌サンプルを持ち帰って、米ソに次ぐ3番目の国になった。 人口爆発や地球温暖化?による災害が報じられる中、地球外への移住が益々現実味をおびてくるように思われる。
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目次
第一章:腫瘍の分離
第二章:火星居住基地での奇妙な死者
第三章:遺族への聴き取り
第四章:グルメクラブへの訪問
第五章:食の調査(以上済んだよ)
第六章:死因の調査(今回)
第七章:ウイルスと病因
第八章:エピローグ
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・・・ が、また新たな疑問も出てきた。
「D夫人の様に子供の時のグルメクラブでの食事が原因とすると、年配になってから悪影響の出てくるモノってはたして一体何が・・?」
(以上前回まで。)
多くのグルメクラブ・メンバーに健康上の問題があるわけではなさそうだ。 今の所具合が悪くなっているのはその一部のメンバーじゃないかな。
やはりグルメクラブが関係あるなら、クラブ・メンバーの中でも共通の好みのグループができ、その限られたメンバーだけ食べた特別な料理が病死の原因となるってありうるかなあ・・。
A氏とD夫人の生活上の接点も調べたが、食料増産と基地建設の部門の業務はまるで違うから同じ職場で働く機会はないと考えて良いだろう。
二人の学生のころの履歴では、基礎授業はリモート・テレワークなので接触はなく、応用授業での共同参加作業と選択クラブ活動における接触も、時期や選択が異なる。
就職前のインターンシップでも二人の研修場所は重なっていない。
二人共月居住基地で生まれ幼少期に火星に移住したいわゆる“移住組”で、月居住基地から火星居住基地への移住においても、移住船の出発時期が異なっている。
遺伝的な病気の可能性を考えて、二人の親戚に関して病歴を健康保健センターの個人疾病ファイルで調べてみたが、同じような原因不明の疾患に罹った者はいないようだった。 月基地やさらに地球の医学センターまで、家系を逆上って詳細な調査を依頼しようか、あるいは火星基地で医療ネットワークを芋づる式に家系をできるところまで手繰っていこうか・・。
夏目田は、ジョギングの後のクールダウンとしてウォーキングをしている時に、この原因不明の疾患の件があれこれ頭に浮かんできたのだった。
夏目田は患者の診療治療を行っているが、まとまった時間がとれると予約したジムで運動し、その後居住基地のジョギング・コースを走ることにしている。 健康のためのルーチン・エキササイズである。
月でも火星でも有害な生物や物資が持ち込まれないように検疫をパスしなければならないが、調べられる項目は既知のものに対してである。
もし未知のものであれば見過ごされるかも・・・。 例えば未知の感染症が見過ごされたなら、感染者の免疫機構が反応しているかもしれない。
実際、免疫機能の一つに細胞にアポトーシスを起こさせて体から除去する働きがある、つまり細胞に自殺を誘導して体の悪い部分を取り除くのである。
病因不明の患者で実際にアポトーシスが起こっていたしなあ・・。 夏目田は「未知の感染症の可能性も探ってみるかなあ・・」。
夏目田は医学部門免疫学ユニットの柴里博士に連絡を取り協同研究を依頼した。 夏目田博士の父は月居住基地の免疫学ユニットの研究者であったので、柴里博士の先輩にあたる。 ただし、夏目田と柴里は近い年代だ。
(次回に続く)